1月1週号
【本山町】酪農 今年こそ良い素牛を
▲牛に愛情注ぐ矢野さん。1日2回の授乳作業などを担当している |
本山町木能津の矢野恵利子さん(28)は、高知県でも数少ない独身の若き女性酪農家。スリムな体で、朝から夜までよく働き、規模拡大やコスト低減などに積極的に取り組んでいる。
矢野さんは黒松牧場の3代目。父の知義さん(59)と母の孝子さん(55)は、祖父母の乳牛18頭から酪農を開始し、フリーストール方式を導入して規模拡大を図った。今では240頭を飼育する。
「もともと動物好きで、おじいちゃんの時代から酪農が家業だったので、子供のころから手伝っていました」と矢野さん。酪農学園短期大学卒業後、デンマークに1年間留学し、有機酪農を勉強した。
個体管理が一番大切」と、毎日の乳量や牛の歩行数で発情日を観察しパソコンで管理。また、牛群別に適正な飼料を給餌し、1日1頭当たりの平均乳量は31`で県平均の25`を上回るが、現状に満足していない矢野さんは「生産能力の高い素牛を今年こそ育成したい」と意気込む。
▲前列は知義さん、後列左から中央家畜保健衛生所の高橋獣医師と安藤正視獣医師。牛の病気やけがをがっちりサポート |
現在、授乳作業の労力軽減のため哺乳ロボット施設を建設中で、中央家畜保健衛生所の高橋徹獣医師は、「彼女は一日中働いています。哺乳ロボットで労力的にも気分的にも、ゆとりが持てるようになればいい」と話す。
知義さんは「恵利子のやりたいように考えて、知っていることは伝えるし、生産性の向上とコスト低減が図れるよう家族みんなで応援するよ」とほほ笑む。
(山中)
1月3週号
【佐川町】部会の仲間の協力でイチゴなど/田村和志さん
▲「大きくて、形のきれいなイチゴをぜひ食べてください」と田村さん
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「安全で安心して食べられる、おいしいものを提供していきたいですね」と笑顔で話してくれたのは、佐川町でイチゴ栽培に取り組んでいる田村和志さん(24)。
「農家で育ったので、自然と農業高校、農業大学校に進みました。大学校ではイチゴ栽培を専門に勉強しました」と田村さん。イチゴ17eのほかにピーマン18e、水稲80eを3世代で栽培する。
就農したばかりのころは、祖父や父に言われたことをこなしていくだけの毎日で、作業を覚えることが大変だったというが、現在では、収穫以外はすべて一人で行っており「大きくて綺麗な実ができるとうれしいです」と話す。
田村さんが栽培している品種は「さがほのか」。開花から収穫までのサイクルが連続的に繰り返されることから、収穫回数が多いのが特徴。
「形もきれいでパック詰めしやすいので導入しました」と田村さん。栽培管理での失敗もあったが、所属するJAコスモスのイチゴ生産部会の仲間からのアドバイスも受け、今では順調に栽培できている。
3年前に高設栽培の施設を導入。「先行投資はかかりましたが、衛生的で荷造りなどの作業もしやすいし、何よりも収穫のときに腰が痛くなくて楽ですよ」という。
同部会では、取引先の要望に応えて出荷規格を季節ごと変えており、「今年から役員になり、出荷規格などを決める大変な仕事を引き受けました。責任を感じると同時にやりがいも感じています。部会の方にはいろいろ協力してもらい、助かっています」と田村さん。
今後については「買ってもらった方からの『おいしい』という一言で、栽培意欲をかき立てられます。消費者に好まれるものを選んで栽培していきたい」と話す。
(大崎)
1月4週号
【香南市】手間かけ冬でも高糖度なスイカを提供
▲スイカの状態をたたいて確認する松本さん |
手間を惜しまずに栽培して、冬場でも高い糖度を維持しています」と話すのは、JAとさかみスイカ部会長を務める松本高雅さん(46歳、ハウススイカ39e、ジャガイモ20e)。同部会では、香南市夜須町で栽培するスイカをイタリア語で満月を意味する「ルナピエナ」というブランド名で販売している。
冬の栽培品種は「夜空」。約2.5`と小玉で、果肉がしっかりしており、高糖度なのが特徴だ。
ルナピエナは立体栽培をしており、ハウスの中には、1b前後の高さにつるされたスイカが並ぶ。茎の誘引や実のつり下げなどに多くの手間を要するが、葉、茎、実すべてに効率良く日光を当てることで高糖度に仕上げる。部会の冬の糖度基準は、11.5度。1本の苗から1個の実だけ収穫する。
少ない水で栽培することで糖度が増すスイカ栽培。水切れの良い土地で部会全員が点滴灌水を取り入れ、水分管理を徹底している。「水のコントロールが一番難しい。毎日記録して研究し、みんなで情報交換しています」と松本さん。
部会ではブログで情報発信も行っており、「冬のスイカといえば、ルナピエナと言われるようにしたい」と意気込む。
(岡ア)
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