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農業共済団体が発行している機関誌のご案内です。

2009年 2月


2月1週号
【香南市】環境保全は地域一体で
     非農家巻き込み水路の草刈りに地被植物植栽も

 山北川と香宗川の合流点上流部に位置する香南市野市町の中ノ村地域は、昔から米づくりが盛ん。しかし、同地域は過疎化、高齢化に加え混住化が進んで農地の維持管理が困難になり、雑草除去作業や土砂の流入防止に苦慮している。そこで、農業者だけでなく地域住民などを巻き込んだ活動組織「中ノ村ふるさと会」(長尾勝正代表=68歳、理事20人)を昨年4月に発足。農村環境の保全活動に取り組んでいる。


▲中ノ村ふるさと会のメンバー(後列右から2人目が長尾代表)
▲排水路の除草作業を行うメンバー

 水路の除草作業などの管理は以前、地域の農業者を中心に組織する中ノ村土木協議会が行っていた。長尾さんは「水路管理の中で、草刈作業は特に労力がかかる。近年は除草剤を使うことが多くなったことで土地が弱り、土砂の流出が起きている」と話す。
 そこで、雑草の繁殖抑制効果があるヒメイワダレソウ(地被植物)に着目。2008年1月に地域の世話人有志をつのり、市役所、農業委員会、県などを交えて勉強会を実施した。
 その中で、農業用施設の維持管理や農村環境の保全活動への助成制度を知り、「農地・水・環境保全向上対策事業」を取り入れた活動を開始。
 まず活動組織づくりや事業計画の検討を重ね、農業者だけでなく地域住民、自治会、婦人会、高齢者クラブなどで構成する活動組織・中ノ村ふるさと会を立ち上げた。 
 昨年6月には、同助成制度の採択を受け、支援対象期間の4年間に約2`の幹線排水路法面(のりめん)へ、ヒメイワダレソウを植栽することを組織活動の柱に据えた。
 長尾さんは約2千鉢のヒメイワダレソウのポット苗を生産。10月には同会メンバーが、幹線区間約100bに植え付けた。
 「今年は、昨年植栽した区間の生育状況の把握と草刈り作業を行います。それから、1万本の苗を育て、排水路法面1`に植栽する予定」と長尾さん。
 地域支援企画員の大利尚さんは「植栽によって草刈り労力の低減につながるのが大きい」と、今後の地域住民の活動に期待している。

(野島)
    







   

2月2週号
【津野町】加工用ワサビ促成栽培 低コストと軽労力が魅力
     契約栽培で単価安定 無加温もメリット

 津野町の旧東津野村地域では、基幹作物として米ナスや小ナスの栽培が盛ん。しかし、高齢化により集出荷作業が体力的に厳しいことなどから、栽培面積を減らす農家も増えてきた。そこでJAや地元農家は、低コストで労力も少ない作物として、加工用ワサビの促成栽培に着目。食品企業との契約栽培で、単価が安定しているほか、無加温で栽培できるのもメリットだ。
    

    
▲定植後のワサビの成長を見守る上岡さん

 加工用ワサビは、愛知県に本社を持つ食品企業との契約栽培。送られてきた種(品種=「だるま」)をセルトレーで育て、10月下旬から11月初旬にかけて定植する。
  栽培方法は、収穫時期によって多少の違いはあるが、畝幅1.8bの4条植えで、株間・条間は約30a。10e当たり7400〜7900株が目安だ。4月下旬〜5月に60aほどに成長したものから、根の上部ごと一株分を切り取って収穫する。
 出荷作業は、収穫したものを、土を払いのけて専用コンテナに詰めるだけと短時間で済む。全量を地元JA経由で出荷しており、粉ワサビや練りワサビ、化粧品の原料に利用される。
 一昨年、6eのハウスで栽培を始めた同町芳生野の上岡さん(71)は「作業時間が少なく管理も楽。小ナスの収穫時期の前に出荷が終わるので、効率がいいですね」と笑顔で話す。契約栽培で単価が安定していることに加え、昨年の収穫量は多いときで一日120`、総量3dと予想以上に多かった。畝作りのときの元肥と追肥は必要だが、通常の管理は害虫の消毒を2回と、潅水(かんすい)を一日おきにした程度。ワサビは低温に強いため無加温で栽培でき、燃料代が必要ないのも大きな利点だ。
▲収穫適期を迎えたワサビ
 上岡さんは、今年、余った苗を利用して竹を支柱にした露地のトンネル栽培に挑戦。心配していた積雪(20a)にも耐え、休耕田を活用した栽培も期待できるという。 
  JA津野山の中越営農指導員は「肥料や消毒など経費が少なく、軽量で高齢者も扱いやすい」と期待。管内での栽培農家は、4戸・20eで、県内では津野町のほか6市町村で栽培されている。


(中越)
    
    


2月4週号
【いの町】ソムリエの資格生かし 野菜の魅力をPR

    

▲産直市で野菜を陳列する水田さん。「お客さんの生の声が聞けるのがうれしいですね」と話す

 「集まってくる野菜たちがかわいくて、いとしくて。良い商品が集まるので、やりがいがあります」と話す、いの町枝川の水田かおりさん(43)。
  夫、両親とショウガ、サトイモなど、露地・ハウス野菜150eを栽培する傍ら、いの町の量販店サンシャインラヴィーナで産直アドバイザーを務める。
  産直アドバイザーとは、水田さんが名付けた職名で、午前中2時間、産直市の商品陳列や管理、販売促進の業務を行う。
  出荷会員約130人の産直市は、水田さんの工夫があふれている。「表現ひとつで売れ方が違うので、お客さんに野菜の良さが伝わるよう努力しています」と、野菜ソムリエの資格を生かし、野菜ごとにお勧めの食べ方や栄養価などをパネルで紹介。「野菜に親しんでほしいと思って書いています」というオリジナルの野菜キャラクターは子供たちに人気だ。そのほか、定期的に旬の野菜を使った料理の試食を実施するなど、売り場を盛り上げている。
  商品管理の面では、売り場の状況を見て、メールで追加出荷の要請、商品の詰め方のアドバイス、生産者だけでは分かりづらい商品表示の指導なども行う。
 「向上心が強い生産者の方が多く、切磋琢磨してどんどん良くなっています」と、1カ月の売り上げは約800万円にもなる。
 とにかく野菜が大好きだという水田さん。「お客さんにもっと楽しんでもらえるような売り場にして、後継者も育てていきたいですね。生産者として、ショウガの加工品も作りたいし、農業の方も頑張りたい」と目標がいっぱいだ。

(岡ア)




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