3月1週号
【大川村】活性化の切り札に 土佐はちきん地鶏
▲「はちきん地鶏はうまい。全国一だと思っている」と朝倉さん |
「土佐はちきん地鶏」の飼育に情熱を注ぐ大川村の農事組合法人「かぜ」の代表理事・朝倉慧さん(69)。2千平方bを超える鶏舎で、4千羽を飼育している。
はちきん地鶏は、クキンシャモとプリマスロックの交配種。「肉質は、歯ごたえがあるが堅くない。脂肪分からのうま味ではなく、肉そのもののうま味が強いところが、他の肉との大きな違い」という。
同じはちきん地鶏でも、クキンシャモの性格が強いものや、その反対など、親鳥の特長が出る。そのため飼育は容易ではないが、過疎化が進む村の活性化につなげようと励んでいる。
「地鶏の飼育は、携わる全員が思いを一つにすることがとても重要」と朝倉さん。2009年度は、3万羽の確実な出荷と、さらなる味の向上を目標に取り組む。
(浅野)
3月3週号
【香南市】黄金柑 珍しさと味が魅力 顧客は全国に300人
「黄金柑(おうごんかん)」は全国的にも生産量が少ないかんきつ品種。高知県では土佐ブンタンの授粉樹として植え付けられている程度だ。香南市香我美町の国吉康夫さん(49)・多美子さん(39)夫妻は、黄金柑50e(150本)を奈半利町で栽培し、1990年に「一口こがねみかん」と商標登録。味の良さと珍しさが人気を集め、土佐ブンタンと温州ミカンを栽培する国吉さんの果樹経営の柱となっている。 |
▲一口こがねみかんを粗選果する国吉さん夫妻(手前) |
黄金柑を導入したのは33年前。父の耕三さん(78)が珍しさとおいしさに魅力を感じ、苗木を500本定植した。
果皮はレモンのような黄色で、ピンポン玉より少し大きなものが主流。「こんな小さなミカン、見たことがないでしょう。この意外性が消費者に受けているんでしょうね」と話す康夫さん。
大きさは500円玉ほどから温州ミカンのMサイズまであり、小さい果実は甘くて濃厚な味が、大きいものは適度な酸味と、違った味が楽しめる。
黄金柑は、ほかのかんきつ類以上に日射量を必要とし、日当たりの悪い部分は、未熟果となり果汁が十分に入らない。加えて、隔年結果も強く栽培には苦労するという。
国吉さんは、樹勢を維持することで収量を確保しようと、土作りに力を注ぐ。10e当たり、地元養豚農家の作る堆肥を4d、食味を良くするための魚粉を300`施肥している。
また、「摘果をすると、実が大きくなってしまう。小さい果実ほど、甘くておいしいと喜ばれるから」と摘果は一切行わない。
1月上旬から下旬にかけて、木ごとに一度に全量を収穫する。収量は、1本の木から約500`。粗選果の後、コンテナ全体を新聞紙で包み込み、約1カ月寝かせる。
「こうすると、ある程度の湿気を得ることができて追熟が進み、香り高く、甘いミカンになる。味が変わり続けてどんどんおいしくなるんですよ」と康夫さん。皮がしなびてきたころが一番の食べごろで、糖度の目標は13度だ。
販売は、2月下旬から4月中旬までで、生産量が少なく市場出荷に向かないため、サイズごとに2`と5`に箱詰めし、電話などで個人向けに販売している。
▲大きさはさまざまな一口こがねみかん |
「買ってくれた人の約9割がまた買ってくれる。30年間お付き合いのある方もいます」。特に「一口こがねみかん」と商標登録してからは、口コミや商品に同封するチラシなどで顧客が増え、現在では全国各地で300人余りになるという。
今後については、「予約段階で売り切れる小さいサイズを安定的に確保するとともに、味の向上のために、これからも土作りに励みたい」と話す。
(山中)
■戻る