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農業共済団体が発行している機関誌のご案内です。

2009年 5月


5月2週号
【越知町】漢方薬用の普通米「粳米(こうべい)」導入

 農事組合法人ヒューマンライフ土佐(越知町、片岡継雄組合長=72歳、組合員230人)では、薬草栽培を通して、山間地の農村活性化を目指している。「米政策の見直し――水田のフル活用」が進められる中、今年から転作作物として、漢方薬の材料になるうるち米「粳米(こうべい)」の契約栽培に取り組み始めた。

    
    
▲転作作物として粳米に期待する片岡組合長

 ヒューマンライフ土佐は、ミシマサイコ(三島紫胡)をはじめトウキ、シャクヤクなどの薬草約20品目、130fを、漢方薬の株式会社ツムラと契約栽培している。
 片岡組合長は、農家が米価の安値に不安を持っていることを受けて、ツムラ側に働きかけ、今年から新たに生産調整用うるち米・粳米の栽培に着手した。
粳米とは、普通米を漢方薬の原料として使用するものの呼称。主に咳、気管支炎などの薬・麦門冬湯(ばくもんどうとう)に加工される。
これを水田転作作物として導入するため、JAコスモス地域水田農業推進協議会は、ヒューマンライフ土佐と協力して、今年産の水稲から管内農家に栽培を呼びかけた。
今年は、約70人が5月下旬ごろ、約10fに植え付ける予定で、収穫後は、JAコスモスを通じてヒューマンライフ土佐が受け入れ、ツムラに販売。買い取り量は、30d〜40d、農家渡し金額は、30`当たり6300円を見込んでいる。
JAコスモスの酒井清志営農経済課長は、「生産調整ができて、水田も守れる。米価の安値が続く中、最初から農家と価格を約束できるのが良い」と評価。
買い取りは、漢方薬に使用するため、1等級から3等級のもので、生産履歴が明確なものに限られる。このため、栽培履歴の提出、個人ごとにライスセンターを利用することなどが必要だ。
▲粳米用の水田の準備を進める岡さん

 粳米は、水稲共済に加入できるうえ、水田転作奨励品目としてカウントされ、産地確立交付金が10eあたり8千円交付される。今年10e分約500`の出荷を希望している越知町の岡義雄さん(53)は、「不安定で安値が続く米市場を相手にするより良いと思う」と話す。
 新たな取り組みは始まったばかり。片岡組合長は「70dまでは受け入れが可能なので、安定して栽培できる体制を関係団体と一緒に組んでいきたい」と話す。

(藤田)





   

5月2週号
【南国市】新・天敵農薬「スワルスキーカブリダニ」



    
▲害虫を補食するスワルスキーカブリダニ(写真提供=アリスタライフサイエンス株式会社)

 アザミウマ類とコナジラミ類に効果が高く、昨年11月に新たに天敵農薬として登録された「スワルスキーカブリダニ」。南国市三和地区の八松清さん(44歳、ピーマン30e)は、この天敵農薬を試験導入して効果を挙げている。
  八松さんは8eのハウスで、従来から使用しているタイリクヒメハナカメムシと併用。
▲ピーマンを収穫する八松さん。12月上旬から被害はほとんど無かったという
 今回の実証試験では、年内にアザミウマ類による軽微な被害果は見られたものの、12月上旬から4月まで、アザミウマ類、コナジラミ類による被害をほぼゼロに抑えた。
 「捕食率が良く、アザミウマ類などに対して使用していた農薬を使わなくて済むので、満足している」と八松さん。
 指導している中央東農業振興センターの野中普及指導員は、「省力で防除効果の高い天敵利用技術を広めていきたい」と意欲的だ。

(池知)
    





5月3週号
【南国市】乳牛の能力向上へ努力 少数精鋭型で勝負



    

▲牛舎で、愛情を注ぐホルスタインと一緒に山本さん

 「餌の食べ具合、乳量など、毎日のちょっとした体調の変化を常に気にかけていなければ、すぐに病気など悪い結果として表れて大変だった」と就農当時を振り返る南国市日章の山本倫義さん(41)は、約1年前から両親の後を継ぎ、ホルスタイン約25頭を飼養している。
 両親が高齢になり、牛の世話ができなくなり始め、牛舎から牛が一頭、また一頭と減っていく状況を目の当たりにした山本さん。「このままでは廃業する」と危機感を募らせ、会社に勤めながら3年ほど両親を手伝った。
 「そうしたら、だんだんと牛に情がわいてきて……。それが、会社を辞めて就農するきっかけとなりました」と話す。
 就農後は、生き物相手のため、気が抜けない日々が続いた。自分で調べたり、人に聞いたりと手探りの毎日を過ごすうち、酪農の奥の深さを感じるようになり、「今では就農して良かったと感じています」と笑う。家族で仕事ができることや時間配分など、予定を自分で決められることも魅力だという。
 現在は、自家飼料の割合を増やすことに力を注いでおり、ソルゴー2f、エン麦1fを栽培。今後は、耕作放棄地を借りて増やすことも検討している。
 また、繁殖成績の向上を目指して、獣医師に意見を聞くなど勉強中だ。診療にあたるNOSAI高知・中央家畜診療所の井上陽一獣医師(36)は、「いつも元気で、分からないことに対して積極的に質問する姿勢には、頭が下がる思いです」と話す。
 一時は10頭ほどまで減っていた飼養頭数を徐々に増やし、今では牛舎に空きがない状態だ。これ以上、頭数を増やすことは難しいため、「一頭一頭の能力を引き上げていくことを目標に、少数精鋭型で頑張っていきたい」と抱負を話す。

(川添)





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