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農業共済団体が発行している機関誌のご案内です。

2009年 6月


6月1週号
【三原村】天候に合わせ 飼料設計を毎日変更



▲肩に乗るほど懐いている横斑プリマスロックと一緒に藤田さん

 「しゅりの里」農園を経営する三原村芳井の藤田守さん(37)は、妻の衣理さん(37)とともに、卵肉兼用種の鶏・横斑プリマスロック約2千羽を、70eの敷地で放し飼いしている。
  「うちの子に食べさせたいと思うものを、お客さまに提供しています」という卵の黄身は、手でつかめるほどの弾力があり、鮮やかなオレンジ色だ。
 餌に化学添加物は一切使わず、国産の天然素材が中心。トウモロコシなど輸入に頼らざるを得ないものは、収穫後に農薬を使用していないものを用い、土佐清水産の魚粉、天然酵母、茶など約15種類を配合する。
▲卵と卵が原料の手作りせっけん。卵の黄身はオレンジ色だ

 毎朝、日の出の1時間前から、その日の気温と湿度、鶏の体調を考えて、パソコンで飼料計算しており、「一日として同じ餌はない。卵の味がいつも同じになるように、鶏が欲する栄養素を与えるためです」と藤田さん。
 卵の生産を始めて8年目で、毎日約1千個を出荷し、「お客さんから『おいしかった』という手紙をもらったときが一番うれしい。過疎が進む三原村を守ることにもつながれば」と話す。

(岡ア)

問い合わせ先=しゅりの里(TEL・FAX 0880-46-3801)






6月2週号
【四万十町】作付け増えるハウスアスパラガス 産地化目指して一丸

 農作物の価格低迷と労力不足を解消する有望品種として、四万十町でアスパラガスのハウス栽培が広がっている。現在は、18戸が2.4fで栽培。「四万十アスパラ」として主に県内に出荷し、新たな産地として期待が高まっている。
 
     
     
▲収穫期を迎えたアスパラガスのハウスで吉良さん

 四万十町でアスパラガスが導入されたのは、「鮮度の良いアスパラガスが欲しい」という県内量販店の要望がきっかけ。これを受けて、JA四万十の指導の下、2004年に2戸の農家が4eで試験栽培を開始した。その後、産地化を目指して県外視察や講習会を行い、06年からはハウス栽培に取り組んでいる。
  四万十町野地の吉良寛一さん(47)は、ハウスイチゴを20e栽培していたが、苗の病害と労力不足が原因でうまくいかず、アスパラガスを導入した。「初めての作物で分からないことばかりだが、夜中まで出荷に追われていたイチゴに比べて作業が楽。自由な時間が増えた」と笑顔で話す。
 町内で栽培されるアスパラガスの品種は「ウェルカム」。3月中旬から30日ほど収穫できる春芽と、その後5月中旬から5カ月ほど取れる夏芽がある。JAで発芽させたものを農家が育苗し、定植。一度定植したものは、10年ほどは植え替えする必要がないのも大きな魅力だ。
▲JA四万十の出荷場で出荷準備をする生産者たち
初期にバーク堆肥を10e当たり30dと大量に使い、追肥も必要となるが、換気を良くして斑点病の発生に注意すれば、肥培管理も手間がかからない。難点は最初の収穫までに約1年必要なため、その間の収入が見込めないことだ。
 JA四万十の北村嘉臣営農指導員(35)は「労力が少なく高齢者でも栽培できるのは大きなメリット。地域の特産品として期待している」と話す。
 今年からが本格的な収穫で、10e当たり収穫量は約3d、平均単価は1`当たり1千円を見込んでいる。量販店からの品質に対する評価は良く、「もっと出荷量を増やしてほしい」との声があるという。
 ブランド化に向けては、品質の向上と出荷量の安定が課題だ。全戸が参加するJA四万十アスパラガス研究会では、地域に合った栽培技術の確立に向け、現地検討会を実施するなど研究を重ねている。
 5年後の目標を作付面積6f、生産量120dにおき、産地化に向けた取り組みは進む。

(大崎隼)
     
    




6月2週号
【大川村】ブランド確立へ部会設立/山中教夫さん

    

    

▲オランダでユリ栽培の研修をうけた山中さん。夏作栽培に生かしたいという

 「標高差を生かしたリレー出荷体制を築き、市場への安定供給を図りたい」と話す、大川村の山中教夫さん(28)は、村の冷涼な気候を利用した、夏作の花卉栽培に取り組んでいる。
 標高500〜800bに点在するビニールハウス(50e、6棟)で、トルコギキョウ、オリエンタルユリなどを栽培する山中さん。今年3月に地域の生産者4人で、部会「土佐れいほくConfidenceflower」を立ち上げた。
 山中さんたちは「他県の産地と勝負できる花卉栽培に取り組みたい」という思いからこの部会を設立。メンバーから「将来のため勉強になる」と、山中さんが代表を任されている。
 部会では、発足間もないことから具体的な出荷規格などを検討中で、これから少しずつ整備していく考え。まずは、栽培技術や品質向上に重点をおいた取り組みで、市場関係者や消費者から信頼を得たいという。
 現在、JA土佐れいほくを通して、オリエンタルユリは7〜11月、トルコギキョウは8〜10月末まで、京都、大阪、県内などに出荷している。
 「近年、花の価格低迷で苦しいが、生き残るために努力していきたい」と話す山中さん。良質な花をグループで安定的に供給することで、バイヤーの信頼を得て、ブランドの定着、他産地との差別化につなげたい考えだ。「将来的には、トルコギキョウ、オリエンタルユリの産地として定着させたい」と意欲を燃やしている。

(近藤)

    
    

   

6月2週号
【芸西村】スモークツリーの収穫始まる 煙のような花が魅力

    

    
▲「スモークツリーは水はけの良い土地が適している」と話す岡村さん

 祝い事の飾り物や、玄関ロビーの生花などに利用されるスモークツリーの収穫が、芸西村の岡村悟さん(52)方で始まった。
 岡村さんがスモークツリーの栽培を始めたのは、25年前。「視察研修で各地を回っていたとき、遠くからでもはっきり見える、煙のようなきれいな花が印象に残った」ときっかけを話す。
 ホワイトファーやピンクファーの品種から栽培を始め、現在は、25eの田や畑で6品種まで増やしている。「1坪に1本ぐらいの間隔で植え付け、雨風で花や穂がすれない程度にすることや、あまり木を大きくしないのがこつ」という。
 1本の木から約20本の花が収穫でき、収穫作業は5月初旬から6月末まで続く。労力が少なくて済むことから、水稲の代わりに作付けられ、今では栽培者が増加。芸西村では 14戸・2fで栽培されている。
 岡村さんは「土地の条件や気候に左右され、商品にするのは苦労もあるが、将来は産地化できれば」と話している。

(松本)
    

    

6月4週号
【大川村】「おいしい」の声が力に/野中朋子さん

    

 自然本来のおいしさを追及したトマトを、夫とともに栽培する野中朋子さん。四万十川野生派トマト「狼桃」というブランド名で全国各地に直送販売しており、完売状態が続く人気となっている。

 ――なぜ、高知にIターンし、トマト栽培を?
 野中 高知は暖かいイメージがあったから。深い考えがあったわけじゃなく、何となく農業をすることになったんです。たくさんある作物の中からトマトを選んだのは、わたしがトマトを好きだからなんですよ。
 ――狼桃の特徴は?
 野中 「ファースト」という品種で、原産地の乾燥した環境に近づけるため、苗床をガチガチに固めて、水は最低減しか与えずに栽培した、野生の力を引き出したトマトです。見た目もごつごつしたいびつな形で、皮も硬くうぶ毛が生えています。
▲一つ一つ丁寧に、トマトの出荷準備をする野中さん(円内も)

 ――経営の中での役割は?
 野中 販売や営業を中心に担当しています。パンフレットの作製なども、わたしの仕事です。
 ――販売の形態は?
 野中 3月から4月ごろに収穫する糖度7以上の「竹」と、4月から5月に収穫する糖度9以上の「松」にランク分けして販売しています。一番おいしいときに発送するため、期日やサイズの指定はお断りしています。
 ――やりがいは?
 野中 一度買っていただくと、常連さんになってくれる人が多く、食べた感想もすぐ返ってくるので、励みになります。
 ――今後の抱負は?
 野中 より良い品質のトマトを作りたいです。大切に育てているので、たくさんのお客さまに喜んでいただきたい。


(大崎隼)
プロフィル
石川県出身 1993年大阪から夫とIターンし就農
02年毎日新聞社主催毎日農業記録賞優秀賞受賞
ハウストマト37e 四万十町昭和 42歳





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