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農業共済団体が発行している機関誌のご案内です。

2009年 9月


9月2週号
【四万十町】高温耐性新品種『にこまる』を試験栽培
      白未熟粒の発生の回避へ

 近年、温暖化が進み、水稲の品質低下が西日本を中心に問題化している。本県でも3年前、中生稲の主力品種「ヒノヒカリ」に、高温障害に伴う白未熟粒が多発。これを回避するため、九州で育成された高温耐性新品種「にこまる」が昨年、県下5カ所に導入された。今年、四万十町をはじめ25戸の農家が773eで、にこまるの試験栽培に取り組んだ。

    
▲にこまる(右)とヒノヒカリの玄米。にこまるが白未熟粒が少なく、粒張りもよい
 高温障害は、開花期に35度を超える高温に遭うと不稔になりやすい、登熟期前半の平均気温が26〜27度を超えると白未熟粒が増加しやすくなるというもの。また、登熟初期の日中の高温で胴割れ粒が出やすくなり、品質や収量が低下する。
  にこまるは、白未熟粒を防ぐ一つの手段として導入された。今年は7月の日照不足や8月の豪雨に遭ったものの、順調に生育。稲作農家をはじめ関係機関などでは、有望品種として期待を寄せている。
  にこまるは、茎内に炭水化物をたくさん貯蔵する性質があり、日照が少なくて、高温が続いても、良好な登熟が得られる。食味もヒノヒカリ並で、2008年の「米の食味ランキング」では長崎産のにこまるが「特A」に評価された。
  玄米は粒張りが良く、収量もヒノヒカリを5〜10l上回る結果も出ている。しかし、倒伏性はヒノヒカリ並で、ややなびくことから、施肥量の調整が必要だ(表1)。

 四万十町で、にこまる46 e、ヒノヒカリ71e、「十和錦」15eを栽培する弘田重久さん(74)は、ヒノヒカリの高温障害に困っていたとき、カントリーエレベーター利用組合の役員に勧められ、にこまるを手掛け始めた。「今年の結果が良ければ栽培面積を増やしたい」という。
▲にこまるの実張り状況を確認する弘田さん

 県環境農業推進課坂田専門技術員は「生育ステージはヒノヒカリとほぼ同じなので、高温障害が顕著な地域に導入していきたい」と話す。
 また、「にこまるは、今年の1月に産地品種銘柄に認可されたばかり。収穫は、ヒノヒカリよりも1週間から10日遅いので、カントリーエレベータの有効利用ができる」と説明するJA四万十営農推進課の森本英和さん(25)。「品種名を前面に押し出して、仁井田米のブランド化につなげていきたい」と意気込んでいる。

(山中)









   

9月2週号
【香南市】細心の管理で「きれいな株」



    

▲「仕事は辛いことも多いが、楽しくやることが大切」と竹村さん

 「父親が病気になり、会社勤めを辞めて、後を継ぎました」と話す、香南市赤岡町の竹村徹さん(48)は、水稲2fとハウスニラ8e、露地ニラ2eを栽培している。
  現在、就農して7年目。最初は、水稲、オクラ、ラッキョウを両親から引継いだ。その翌年、「周年で収穫できる作物を導入したい」と考え、高齢で規模を縮小したニラ農家から資材を譲り受け、ニラを導入。「そのころは、値段が良かった。今はそうでもないが、ものは考えようで、厳しい時代でも作物を作れば、必ず収入はあるもの」と信念を話す。
  農作業は、母の千代さん(75)と二人三脚で行う。千代さんは「結束作業は手間がかかるけど、息子が一緒にやってくれるので本当に助かります」と話す。早朝4時から2時間ほど刈り取り、8時から夕方5時ごろまで仕分けして市場へ出荷する。音楽を聞いて、楽しく仕事をしようと、作業場にはロックや演歌などを流している。
  「農業は、自然が相手なので、いつも気が抜けない」と話す竹村さん。スリップスの発生や、水管理が悪く、株を腐らせるなどの失敗もあった。その経験から、天候や栽培履歴を毎日記録し、肥料や水管理には細心の注意をはらう。「きれいな株を作ることは、収穫後の仕分けの省力化にもつながる」と話す。
  「周りには若い農業者がいないので、自分がこの地域の土地を守っていきたい」と、購入した農地に20eのハウスの建設を計画中だ。人を雇って、分業化を図りたい考えで、「夢は、生産から出荷までを管理する情熱的なニラ会社かな」と笑う。
 現在独身で、「一緒にやってくれる人が来てくれたら」と花嫁を募集中だ。

(野島)
    

9月3週号
【安芸市】土着天敵活用し防除の労力軽減 安心なナス増産を目指す




▲内川さんはゴマに集まった土着天敵を採取し、定植したばかりのハウスへ放している
 「子供のころは魚釣りが好きで漁師になりたかったが、ナスを栽培している家族を見てきて、身近な農業の魅力を感じこの道を選びました。迷いはありません」
  安芸市下山の内川拓也さん(27)は、大阪の専門学校を卒業後、高知市内の会社に勤務していたが、5年目に就農した。
  父の啓さん(52)の指導で1年間、ナスの栽培技術などを勉強。自分のハウス(10e)を新築して、ナスの栽培を開始した。
  ハウスの建築とともに、省力で防除効果の高い天敵利用について独自で勉強。天敵を導入した当初は、害虫のコナジラミなどの発生で、品質や収量にも影響が出たという。
  「最近は父と2人で研究して導入しています。まだまだ正解は出ないが面白い」と内川さん。また、安芸農業振興センターの勉強会などにも積極的に参加して、周りの人にいろいろと教えてもらい、「土着天敵の数と害虫のバランスがうまくかみ合い、自信が出てきました」と話す。
  今では土着天敵のタバコカスミカメムシを安定的に確保するために、露地でゴマを栽培。ゴマに集まってくる天敵を捕獲する。捕獲した天敵は、8月のナスの定植後、すぐにハウス内に放って繁殖させていく。天敵による害虫駆除で、労力軽減と安全で安心な高品質のナスの増産を目指している。
  毎年変わる環境の中、「害虫が多発してハウスのナスが全滅したときが怖い」と内川さん。農業はやればやるだけ自分に帰ってくる仕事で、気を抜くことはできないという。地元については「高齢化や後継者難などで、同世代の仲間が非常に少ない」と心配も。
  内川さんは「今は一人で気軽にやっているので、病気をしないように健康管理には十分気をつけて、将来は、栽培面積を増やしたい」と意欲を見せる。(久保元)

    

9月4週号
【安田町】地元食材の料理を提供 加工品も積極的に
     食事処「味工房じねん」



▲右から小松美喜さん、北村登志子さん、竹内代表、黒岩さん
 地元の食材を生かした料理を提供する安田町の「味工房じねん」は、地元の女性9人で構成する「なかやま山菜工房」(竹内幸恵代表=53歳)が、地域を活性化したいとの思いで今年4月から運営している。
  看板メニューは、メンバーの黒岩糸美さん(67)考案の「じねん丼」。秘伝の割り下で味付けした親子丼の上に、地元の中山山芋部会(5戸)が栽培する自然薯をたっぷりとかける。竹内代表は、「ここの自然薯は、粘り気が強いんですよ。10月中旬から新芋の収穫が始まります」と話す。
  そのほか、すぐそばを流れる清流安田川のアユで作る姿寿司や塩焼きも人気だ。鮎は真空パックした後、急速冷凍して鮮度を保持。今年は豊漁だったため、1年中楽しむことができる。
併設の直販施設では、約50人の生産者が出荷する新鮮な農産物や加工品を販売。また、ジネンジョ、赤ピーマン、アユなど地元の食材を使った約14種類のアイスクリームを製造・販売し、贈答用としての注文も多いという。

▲自然薯を使ったじねん丼と鮎の塩焼き、鮎の姿寿司

 出勤途中に立ち寄れるように、朝6時に開店。そのため、メンバーは4時から寿司や弁当類を作る。「朝早いのは大変だけど、おいしいと言ってもらえるのが一番だから」と竹内代表。
 運営を始めて約5ヶ月が経ち、「今後は味噌や『りゅうきゅうのキムチ漬け』などの加工品も販売していきたい」と夢が膨らむ。

(岡ア)



▽味工房じねん▽営業時間=午前7時〜午後3時(土日・祭日は午後4時▽定休日 毎月第3木曜日▽高知自動車道・南国ICから、国道32号・55号を室戸方面へ。安田町・安田川大橋手前を馬路村方向へ約6` 所要時間約70分▽安田町正弘566▽電話0887・39・2366 




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