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農業共済団体が発行している機関誌のご案内です。

2009年10月


10月1週号
【高知県】日射比例灌水制御装置を開発
     高糖度トマト 品質・収量が安定

 高知県農業技術センターでは、灌水管理を自動化できる日射比例灌水制御装置を開発した。この装置は、日射量を感知して、トマトなどの果菜類などに必要な時に必要な量だけ灌水を自動で行えるというもの。適度な水分ストレスを与えることで、糖度の高いトマトの安定生産ができるとあって、農家などから注目されている。

    
   
▲タッチパネルで灌水量を調整する西内さん

 高知県の糖度の高いトマト(高糖度トマト、フルーツトマトなど)の栽培面積は約30f。このうち防根透水シートを埋設した根域制限栽培の面積は約10fだ。このシートを活用し、水分ストレスを適度に与えながら糖度8度以上のトマトを生産する。
  しかし、根域制限のため、連作障害には強いが、土壌の深さが約20aに制限され、灌水の頻度をその分増やす必要があった。そこで、県農業技術センターでは、日射量の変化に応じて自動的に灌水できる日射比例灌水制御装置を開発し、その利用技術の確立に3年前から取り組んでいる。
  同装置の開発前は、農家はそれぞれ、葉のしおれ方などを観察しながら、勘で灌水していた。この装置では、1回の灌水量、生育時期別の灌水のタイミングや時間帯をタッチパネルで設定。後は、天候に応じて点滴チューブから自動的に灌水される。これまでに適正な設定値を検討した結果、糖度にばらつきの少ない高糖度トマトの安定生産が可能となった。
  同センター作物園芸課の新田主任研究員は「灌水量を多くすると大玉となり、少なくすれば糖度は高くなるが、小玉になる。高糖度トマトの長期栽培と増収を図るには、出来るだけ適度な水分ストレスを保ち、糖度9度前後(1果60c程度)のトマトを維持することが大切」と話す。
  香南市夜須町西山でフルーツトマト50eと水稲2fを栽培する西内孝さん(45)は3年前、ハウスの約10bの部分に日射比例灌水制御装置を導入した。9月上旬に、10e当たり3千本を定植し、生産量は7d。このうちフルーツトマトの生産量は4.2dだ。
▲ハウスの梁などの上に設置している日射センサー

 「3段目までは、糖度6度くらいの普通トマト。それから20段までフルーツトマトの生産を目指す」と西内さん。「毎日の日射データや灌水量がわかるので、防根シートだけのトマト栽培の灌水量の参考にも役立つ」という。
 導入コストは日射センサーや制御基盤などで、18万円程度。同センターでは、トマト以外の果菜類への応用試験栽培を重ね、活用法の拡大に力を注いでいる。

(山中)







   

10月2週号
【香美市】県産米粉100%の無添加パン 手作りの味伝えたい

高知県産の米粉100%の無添加米粉パンの製造に、香美市土佐山田町の宮地和美さん(37)と北村早絵さん(31)が取り組んでいる。二人は昨年12月から「rizriz(リリ)」の名前で、週4回、1日160個ほどの米粉パンを量販店の生産者コーナーを中心に販売。もちもちとした食感で人気を集めている。
    

    
▲「おすすめは、白あん、つぶあん、ごまあんの3つの味のちぎりあんぱん」と話す北村さん(左)と宮地さん

 高知県産の米粉100%の無添加米粉パンの製造に、香美市土佐山田町の宮地和美さん(37)と北村早絵さん(31)が取り組んでいる。二人は昨年12月から「rizriz(リリ)」の名前で、週4回、1日160個ほどの米粉パンを量販店の生産者コーナーを中心に販売。もちもちとした食感で人気を集めている。

 2人がパン作りを始めたのは、昨年の春、JA女性部フレッシュミズ部会で、米粉の製粉場を見学したことがきっかけ。以前から、自分たちで何かやってみたいと思っていたことに加え、北村さんが調理師免許を持っていたことから、パンを作ろうと決めた。
 宮地さんの農作業場の一部を改造してガスオーブンを導入。宮地さんも食品衛生管理者の免許を取得し、パン作りに乗り出した。
 北村さんは、祖父母の農業の手伝い、宮地さんは、ヤッコネギ農家と、パンの本格的な製造は初めて。北村さんは「作り方を教えてくれる人がいなかったので、最初のころは何も分からず苦労しました。作ったパンがふくらまないなどの失敗もあり、販売用として仕上げるために試行錯誤しました」と話す。
 米粉は、当初は岡山県から購入していたが、現在は、JA土佐れいほくに完成した製粉施設から購入。月に80`〜100`を使う。パンに入れる具材は、二人が栽培したものを中心に地元の果物や野菜を使用している。
 パンの種類は、約100種類を考案していて、定番品は40種類。午前4〜11時すぎまで製造し、Aコープ土佐山田店の生産者コーナーや高知市の土佐のふるさと市場などで販売している。
▲焼きあがったパンを袋詰めする二人

 米粉の値段が小麦粉の2倍ほどのため、パンの価格も高めの設定だが、もちもちとした食感で人気があるという。Aコープ従業員の竹村一代さんは「店長のいちおし商品として、販売しています。私自身もこのパンのファンで、週に2回は必ず買います。『帽子パン』が一番シンプルで、米粉の良さがわかりますね」と話す。また、月に2回は小学校の児童クラブへおやつとしても販売している。
 二人とも子供を持つ母親であり、また農作業の傍らで行うパン作り。「農業との両立は大変だけど、家族が協力してくれるので助かっています。おいしかったと言ってくれることにとても充実感を感じていています」と宮地さん。北村さんは「今後も安心・安全で、愛情のこもった手作りのものを広く伝えていきたい。また、本格的な店舗にも挑戦してみたい」と話している。

(野島)
    


10月2週号
【土佐清水市】手間かかる分、やりがいに

    


▲「いろんな種類のトルコギキョウを咲かせたい」と由加里さん
 「今は手探りの状態だけど、この花が大好きだからどうしてもチャレンジしてみたかったんです」と話す、土佐清水市の小川由加里さん(32)は、今年から新たにトルコギキョウを栽培している。
  これまでは、カスミソウ30e、オクラ10e、春ブロッコリー35eを栽培する両親の手伝いをしていた由加里さん。新しく導入したトルコギキョウは、由加里さんが中心となって手掛けている。
  農業に取り組みはじめたのは2年前。以前から「いつか農業をやってみたいと思っていた」という。まずは、春ブロッコリーの栽培に着手した。両親の手助けもあり、まずまずの結果がでたことから「来年はさらに面積を増や予定です」と話す。
  トルコギキョウの導入は、この花が好きだったことと、以前この地を訪れた市場の関係者から「気候と土がトルコギキョウに適している」といわれたことがきっかけという。今年の9月に8種類、約4万本の苗を13eのハウスに定植した。 
  由加里さんは、関係機関や香南市の花き農家から栽培方法などを聞くことからはじめ、温度管理や防虫駆除に気を付けること、成長に合わせてわき芽の整理をするよう指導を受けた。
  トルコギキョウは、切花として需要も多いが、他の花きよりも手間がかかる。そのため、地元の農業関係者の方からは、「栽培はやめたほうがいい」と言われたという。しかし、「手間がかかる分、やりがいにもつながる」との信念から、自然と栽培に力が入る。
 由加里さんが情熱を持って栽培するトルコギキョウは、来年3月に出荷を迎える。

(山本秋)




    

10月4週号
【土佐市】グループ活動が元気の源



▲旬物クラブ用に栽培したオクラを収穫する野瀬さん

 ハウスキュウリ30eを夫と一緒に栽培する野瀬美恵子さん。その傍ら、さまざまなグループに参加し、精力的に活動している。

―様々なグループ活動をされているようですね。
 青年団や4Hクラブから始まり、今は、JA女性部や土佐アグリレディース、土佐市旬物クラブなどで活動しています。
―グループ活動の魅力は?
 人とコミュニケーションをとることが大好きなので、仲間ができて、いろいろな考え方を聞けるところが魅力であり、力をもらいます。また、物を作ることが好きなので、手芸などの活動の時には、講師を務めることもあり、みんなが喜んでくれるととてもうれしいですね。
―今、一番力をいれている活動は?
 旬物クラブの活動ですね。12人の会員で構成しており、地元の小学校の学校給食や量販店に野菜を出荷しています。わたしは、3eほどの露地でキャベツやオクラ・ナスなどを栽培し、出荷しています。
―やりがいは?
 子供たちが自分の作った野菜を食べてくれているということがうれしく、一番のやりがいですね。自分で年間の栽培計画を立てて、栽培・管理までをやることもやりがいにつながっています。クラブでは、小学校で出前授業を行った後に一緒に給食を食べることもあり、自分たちの活動が食育にもつながっているのではと考えています。
―今後は?
 おいしい野菜を子供たちに食べてもらいたいという思いが一番なので、なるべく農薬を使わずに、もっと上手に野菜を作れるようになりたいですね。

プロフィール
高校を卒業後就農し現在に至る
2007年度高知県農村女性リーダー、土佐アグリレディース副部長
夫と長男の3人家族・57歳

(岡ア)





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