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農業共済団体が発行している機関誌のご案内です。

2010年 2月


2月2週号
【大月町】イチゴ入りのかき氷用ブロックアイス 町の新たな特産品に
     独自の風味・食管で好評 県外にも販売網拡大

 「農業に新しい光を、商品とともに自分たちの思いを届けたい」と2008年、大月町に地元の農家が中心になって「苺氷(いちごお)り本舗株式会社」(代表・野村満久さん=43歳、従業員8人)が設立された。同社では、新鮮なイチゴを使ったかき氷用の氷「一期一会(いちごいちえ)の苺氷り」を商品化。大月町の特産として、県内外に販売網を広げている。

    
▲「一期一会の苺氷り」をイベントで販売
 苺氷りは02年、大月町の特産物を使って町おこしにつながる商品を模索していたJA高知はた大月支所青壮年部の地域活動の中から誕生した。部会長を務めていた野村さんがイチゴを栽培していたことから、野村さんのイチゴを使って商品開発がスタート。「イチゴを凍らせてかき氷のようにして食べてみたら、今までにない新鮮みがありおいしかった。周りの方にも試食を願い、評判も良かったので商品化に踏み切った」と野村さんは話す。
  その後、苺氷りの販売を拡大しようという野村さんたちの呼びかけで、07年には農業に希望を抱く地元の農家4人の有志(現役員)が加わった。現在は、2棟のハウス47eでイチゴ(品種=さちのか)を栽培。商品の製造・販売まで手がける苺氷り本舗となった。
 商品はブロックで販売し、1ブロック当たり約14個のかき氷ができる。昨年は全国60店舗に約8千ブロックを販売したという。消費者からは「普通のかき氷のざらざら感がなくて、ふわっとした食感で風味がよい」と評判だ。
 野村さんは「ただ商品を売って利益を得るだけでなく、イベントなどでPRしていきたい」という。また、「若い方に農業の良さ、すばらしさを伝えたい」と力が入る。
▲野村代表(右から3人目)とスタッフ

 苺氷り本舗では「業者になってはいけない、買ってくれる人の気持ちになること。農家の気持ちを忘れたらいけない」との総意と信念を持って取り組む。
 今後については、「苺氷りを柱に、さまざまな地域へ出向き、農業ビジネスの可能性を示したい。それが地域と農業の活性化につながれば」と話している。

(橋本)






   

2月2週号
【北川村】かんきつ 交配種や変わり種品種
     実を想像して「わくわく」



   
▲「変異種と出合って、木を見る目が変わった」と話す川島さん

 「どう育つのか分からないのが面白い」と話す、北川村島地区の川島博隆さん(71)は、ユズ(約74e)を手掛ける傍ら、ユズや文旦などの交配種や、変り種の品種を20〜30本栽培している。
  30年ほど前、栽培していたユズの中に突然変異種を発見した川島さん。このことがきっかけとなって、交配種や変わり種の品種に興味を持ったという。
  最近では、7年ほど前に種から起こした清見とユズの交配種が、去年やっと結実した。「見た目は清見だが、皮や食味にユズの特徴が出ている」と説明する。 
 播種から成熟までには長い年月がかかるが、「同じ品種の種からでも、全く違うものができる。木の成長を観察しながら、どんな実がなるのかを想像するとわくわくする」とその魅力を話す。
 新種の開発にも期待がかかりそうだが、「それは二の次」と川島さん。「興味がわくままに、長い目でやっていくよ」と話している。

(坂本)





2月3週号
【高知市】イチゴ 初収穫に喜び



▲かわいいイチゴ≠一つ一つ大切に見守る川島さん

 「一日中イチゴにかかりきりで、生活そのものがイチゴ色に染まった毎日を過ごしています」と話す、高知市高須の川島俊也さん(30)は、会社員から転職し、約10eのハウスでイチゴ「さがほのか」を栽培している。
 農業に関心を持ったのは子供のころで、その思いが次第に強くなり、2008年に農業へ転職。「幼いころ、特別な日に買ってもらったイチゴがとても記憶に残っていて、イチゴ栽培を選んだ」という。
 「農業は農家しかできないと思っていた」と話す農家出身ではない川島さんにとって、農機具や農地の確保は大きな課題。しかし、イチゴを育てたいという強い思いから「いろんな所に問い合わせて、何よりも先にハウスを借りた」と振り返る。
 イチゴ農家で研修し、09年に独立。現在は一人で作業している。地域の農家から協力やアドバイスを受けながら、肥料やハウスの温度管理などを勉強する毎日だが、まだ経験が浅く、一つ一つの作業に時間がかかるという。
 「農業の難しさを身にしみて感じています。でも、イチゴは最初から最後まで自分の手で育てるので、栽培の楽しさや喜び、イチゴのかわいさが重なって、よりうれしさを感じることができる」
 昨年の12月には、初めての収穫を開始。出荷の準備にも手間がかかるため、一人での作業に苦戦している。実が赤くなっていくのがうれしい反面、収穫が間に合わずにイチゴを傷めてしまうことになりそうで、色づくのが怖いと思うこともあるという。
 「苦労はあるが、母親から言われた『頑張れば何とかなる』という言葉を胸に秘めながら頑張っている」と川島さん。「一人前になることが目標。多くの方に食べてもらい、イチゴ一本で食べていけるように、努力と勉強を重ね、日々頑張っていきたい」と話している。

(浅野)




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