3月1週号
【高知市】パステルグリーンのみどりナス
食卓に新鮮な彩り 家庭用消費に期待
高知県は日本一の冬春ハウスナスの産地。高知市春野町の雨森広志さん(75)は、パステルグリーンの色鮮やかな「みどりナス」の育成を1995年ころに始めた。みどりナスの生産農家はまだ少ないが、珍しさなどから普通ナスよりも高値で取引され、業務用として東京の高級料亭などで、コース料理の一品として活用されている。 |
▲みどりナスの成長を確認する雨森さん。「今は1ケースだけの収穫ですが、1日10ケースが目標」と話す |
「みどりナスは、中国の品種(母親)と日本のみどり色のナス(父親=大刀・白神)を選抜して固定し、2種類を育成した」と雨森さんは話す。
雨森さんは、みどりナスを育成する以前、キュウリの後作用に「春鈴ナス」を育成し、同地区特産作物につなげた実績もある。現在は春鈴ナスの栽培が減少しており、「とにかく色の変わったナスを作りたかったし、趣味感覚で取り組んだ」という。
現在、みどりナスをハウス栽培(10e)しているのは、雨森さん一人で、露地では、地元の農家が家庭菜園用に栽培している程度。
普通ナスほど収量は上がらない反面、価格は普通ナスの約2倍で、2本入りのパックが、120〜130円の高値で取引されている。本県での需要が少ないことから、需要の掘り起こしが急務だ。
みどりナスは、1果重約120cを目安に収穫。JA高知春野から県園芸連を通じ、東京築地市場に出荷され、東京の高級料亭で消費されるのがほとんどという。
特徴は、皮が柔らかく、果肉がしっかりしていること。家庭料理では、揚げ物や酢・塩もみなどに向き、食事の彩りにもなる。
09年の12月6日に開催された、創作料理発表会高知県地区大会では、丸の内高校2年生の岡林未希さんの作品「グリーンなすのオーブン焼き」が手軽にできる一品料理として見事優勝。みどりナスの活用が広がり始めている。
JA高知春野の成岡章代表理事常務(63)は、「収量は安定していないが、何かのきっかけでブームとなればよいが。紫ナスとみどりナスを2対1でパックにして売るとか、アイデアを考えたい」と話す。
雨森さんのビニールハウスは、12月末に竜巻に遭遇。ビニールが飛ばされ、出荷が凍結寸前になっていたが、何とか持ち直して、今は毎日1ケースくらい出している。「これから暖かくなり収量が増えてくる。露地栽培している方と協力して、栽培面積・生産量を増やしていきたい」と雨森さんはほほ笑む。
県内の販売先は、JA高知春野直販所(春の里)をはじめ、サニーマート(六泉寺・瀬戸店)やサンシャインで不定期販売される。
(山中)
■戻る