4月1週号
【香美市】激辛ネットの威力に手応え 有害獣被害防止モデル事業
▲現地研修も行われ、県内外の関係者が参加した |
獣害を防ぐため、香美市では2006度から、檻(おり)やサル防止ネットなどを使った有害獣被害防止モデル事業を行っている。昨年度からは「激辛ネット」を試験的に導入。効果に期待が集まっている。
激辛ネットの価格は、通常の3倍ほどするが、カプサイシン成分が練り込まれているため、口や鼻がネットに触れると痛みを覚え、動物が近寄らなくなる。
ネットは青色で、これは青色を強く認識するイノシシの攻撃本能を低下させるため。また、樹木に巻きつけて、シカの食害を防ぐこともできるという。
設置方法は通常の防除ネットと同じ要領で、激辛効果は5年ほど持続。高さが1・5bあるためめくれにくく、縦に2枚つなげば、シカなどの飛び越え防止も可能だ。
香美市物部町の山中鶴さん(83)は、今年2月にモデル事業の支援を受け、畑の周囲230bに激辛ネットを張っており、「毎年、シカやサルに田畑を荒らされていたけど、このネットのおかげで、今年は全然入って来ない」と喜んでいる。
同市林政課の高橋主事は「激辛ネットには、とても期待している。今後も住民に喜ばれる事業として、有害獣防止対策を進めていきたい」と話す。
(野島)
4月3週号
【香南市・香美市】温室ミカン 重油高騰に3重の備え
コスト削減に効果発揮
重油価格が2006年から高騰し始め、農家経営を圧迫している。JA土佐香美温室みかん部会(部員数90人)では、部会長の百田久範さん(52)が先頭に立ち、さまざまな方法を導入。生産コスト低減に積極的に取り組んでいる |
▲ミカンハウスで百田部会長。興津早生の収穫が6月下旬から始まる |
温室みかん部会の栽培面積は25fで、2009年産の販売価格は約10億円。露地ミカンよりも高値で取引される温室ミカンは、激寒期などに重油の消費量がピークを迎える。
このため、重油のコスト削減が生産農家にとって大きな課題だったところへ、06年から重油価格が高騰(1g38円から93円へ)し、温室ミカン経営を直撃。生産費の約7割を占める重油代が、さらにかさんだ。
百田部会長は「当時も今もそうだが、いつ重油単価が上昇するかが不安だ」と話す。そこで、JA土佐香美営農指導員の白石浩一さん(40)の指導のもと、温室ミカンの重油量の削減対策に三つの方法を導入した。
まず、施設の多重被覆に着手。加温期の屋根面の被覆は2重が一般的だが、パイプ設備を増設して多重被覆した。さらに妻面と側面も被覆して、保温性を向上。
多重被覆にすることで、「10e当たりの重油使用量は、屋根面で約5`g、側面では2`g削減できる」と白石さんは説明する。この実績から、多重被覆は部会全員が取り入れた。
次に、循環扇の設置を勧めた。施設内の空気を循環させることでハウス内の温度を均一に保つことができる。サーモが温度を感知し、暖房の運転時間を短縮させ重油の消費量が減少。電気代はかかるが、従来の重油代に比べて1割程度コスト低減が図れ、現在、部員の2割が設置した。
09年には、試験的に2戸の農家が排熱回収装置を設置。煙突などから排出される熱を再利用するものだ。
排熱回収装置を設置した岡村裕則さん(51)は「昨年は、加温の途中に設置したので効果が分からなかった。本年産は良い結果が出ることを期待している」と話す。
百田部会長は「現在の重油価格なら、三つの対策でなんとかやっていける。今後、極端に上昇すれば、ほかの対策も検討しなければならない」と、さらなる活動も視野に入れている。(日和崎)
4月4週号
【土佐市】消費者ニーズに応え 天敵防除を10年実践
▲アキマメを収穫しながら、天敵の効果を確認する小川さん |
消費者の安全志向に応えようと、アキマメ栽培歴30年の小川和章さん(62歳、土佐市高石、アキマメ・ハウス30e、水稲60e)は10年ほど前から、天敵による害虫防除に取り組んでいる。
「自分なりに試行錯誤を繰り返して効果的な利用方法を探していますが、ハウスによって増える害虫が違ったり、ほかの害虫との兼ね合いで天敵が死んでしまい、思うような結果にならない年もあります」と話す。
数種類の天敵を試した結果、現在はコナジラミ対策としてスワルスキーカブリダニを使用(1月中旬から導入)。
2008年度からは、高知県園芸連が認証する、ハウスへの害虫の侵入防止や天敵の利用によって農薬の散布回数を減らすエコシステム栽培に、小川さんを含む土佐市のアキマメ栽培農家16戸(2・3f)が取り組んでいる。
小川さんは「環境にやさしい栽培方法で、消費者の方に安心で安全な品物を提供できるよう、これからも努力したい」と話す。
(石元)
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