1月3週号
【高知市】新高ナシの規格外でシャーベット 収入増と産地PRに
「新高ナシ」を生産している高知市針木地区では、収穫したナシのうち約3割を廃棄処分する被害が発生し、ナシ農家を悩ましている。そこで針木梨組合(石黒康誠組合長=49歳、33戸)は、規格外の新高ナシを加工品にして有効利用しようと研究。いの町の有限会社高知アイスに話を持ちかけ、2009年に「まるはり新高梨シャーベット」を商品化し、販路拡大に取り組んでいる。 |
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▲シャーベットとヌーボーを手に石黒組合長
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針木地区のナシは、他県の新高ナシよりも果実を大きく育てる。果肉が柔らかくて甘いことから、贈答用として人気を得ている。
しかし、5年前から温暖化の影響などで、猛暑や熱帯夜が多くなり、果実がゼリー状になる「みつ症」や果皮が黒ずむ「日焼け果」が発生。生産農家の経営を直撃するようになってきた。
手塩にかけて育ててきたナシ(規格外)を加工品にできないものかと、地元の「徳谷トマト」などをシャーベットやジェラートなどにして販売している高知アイスに依頼。まるはり新高梨シャーベットが誕生した。
シャーベットは、果汁のほか果肉も入っており、ナシ独特のシャキシャキ感が味わえる。高知アイスでは、年間7千〜8千カップを生産・販売。価格は1カップ130_g、525円の高級アイスだ。
▲整枝、剪定や徒長枝の誘引をする岡林さん |
同地区で新高ナシを40年以上栽培している岡林純次さん(61)は、「収穫間際になって規格外になるのは大きな痛手。処分していたナシがシャーベットなり、私たちの経営にも役立ち助かっています」と話す。
さらに、昨年からは収穫したばかりの新高ナシ(生果)をふんだんに使ったリキュール(まるはりヌーボー)の製造を酒造会社に依頼。リキュールは、期間・数量限定で販売するほか、ジャムの販売も始めた。
曽祖父が針木で初めてナシを植えて来年で100年になる4代目の石黒組合長は、「これで大切に育てたナシが有効利用でき、スーパーやデパートをはじめ、東京銀座に出店している県のアンテナショップなどで販売しています。針木の新高ナシを広範囲にPRしていきたい」と意気込んでいる。
(秋山)
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