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農業共済団体が発行している機関誌のご案内です。

2011年 2月


2月2週号
【四万十市】和牛飼育に専念できる喜びを胸に

 「大好きな牛の仕事にやっと専念できる」と話す横山大河君は、中村高校西土佐分校の3年。四万十市西土佐橘の西土佐中央牧場で、登校前の早朝1時間の牛舎掃除や給餌、また、下校後5〜6時間は牛のブラッシングをはじめ健康管理など、黒毛和種約80頭の世話を2年間、毎日続けている。

    
    
▲「ブラッシングは、1頭に15分はかけます」と一頭一頭にできる限りの愛情を込める大河君

 今春、中村高校西土佐分校を卒業する大河君。実家は地元で精肉店を営み、店に並ぶ牛肉はすべて大河君が育てたものだ。
  通常より早めの27カ月で出荷。「体重は少ないが、肉のうま味で勝負したい」という。地元の人からは「本当に柔らかくておいしいお肉」と評判も高い。
  牛は子供のころから身近な存在だった。手伝い始めたころは、小遣い欲しさにやっていたが、世話をしているうちに楽しくてしょうがなくなったという。
 普段は素手で作業をし、マスクも着けない。「ずっと一緒にいるので、臭いや触った感じで異変に気づきやすい」と大河君。
 そんな毎日の中で絶対に欠かさないのが、ブラッシング。一頭一頭にできる限りの愛情を込めて行う。この作業は、健康状態のチェックだけでなく、肉の脂肪の入り具合など肉質を左右する最も大事な仕事の一つだという。
 昨年度は、土佐和牛の枝肉を品評する「第23回全農こうち肉牛枝肉共励会」で最優秀賞に輝いた。「とても自信になった。目標があるとやる気が出るので、毎年出品したいですね」と目を輝かす。
  診療にあたっている高幡家畜診療所の森田獣医師は「人一倍勉強熱心で努力家。彼なら大丈夫でしょう」と太鼓判を押す。
 西土佐中央牧場の経営者で、身内でもある延茂さん(69)は、「とても熱心に、心から愛情を持って牛と接しているし、ここまでやれるとは思わなかった」と、畜産の仕事を一つ一つ教えながら、大河君の成長を見守る。
  今後の目標を尋ねると、「牛が大好きだから、この仕事ができる。大変なこともあるが、とてもやりがいがある。これからも、一頭でも多くの牛に囲まれ、ずっと続けていけたら」と大河君。
 畜産農家をはじめ地元の皆が認める頼もしい後継者は、今日も元気に学校へ向かっていった。

(山岡)




2月4週号
【土佐市】ユリ・カサブランカ最上級ブランド ユリア
     信頼第一に

 JAとさし高石支所花き部会(西原博明部会長、会員18人、高知県土佐市)では、主力商品のカサブランカ(オリエンタルユリ)を、10月末〜6月末にかけて全国に出荷している。その中でも厳選したものだけを「ユリア」のブランド名で販売。高品質を維持するために等階級ごとの選別を徹底し、生産量アップを目指して他県の産地視察や情報交換などを積極的に行っている。
    

▲市場から指名されるユリア生産を目指す西原部会長
 「ユリを愛する思いを込めて、『ユリア』と命名した」と話すのは、ユリの栽培を1989年から手がけている西原部会長。高石地区ではオリエンタルユリを約7f栽培しており、年間の出荷本数は約110万本、出荷金額は5億円の県内一の産地だ。
 カサブランカはそのうち66万本。その中でも、茎の長さが100〜90a、つぼみの数が8〜5個で秀品・優品に選ばれた最上級のものだけを「ユリア」ブランドとして、関西を中心に、関東、中京の市場へも出荷している。
 少し上向きの花姿が消費者に人気のカサブランカ。特にユリアは花にボリュームがあると好評だ。最上部のつぼみまで開花し、約1カ月楽しめる。
 価格は1本千円で、高級品志向の消費者をターゲットに、通常のものより4割程度高値で取引される。

植栽密度を低く日光を十分に
 冬場は茎が軟弱になりやすいため、日光が十分に葉や茎に当たるよう、1坪当たり27本と植栽密度を低くして育てている。西原部会長は「収益は減るが、お客さまから喜んでもらえるよう、お金より品質にこだわっています」と話す。
 選別は各農家で行うため、部会では毎週火・木曜日に等階級の目慣らしを実施。西原部会長は「市場関係者から、『花が少し咲いている』『茎が柔らかい』など、以前はクレームがあったが、今はほとんどなくなった」と部員の結束力を強調する。

新潟とリレー出荷情報交換や視察も
▲ユリアのポスター。知名度アップを狙う

 また、夏秋期にカサブランカ「雪美人」を産出する新潟県津南町と連携をとり、切れ間なくリレー出荷している。高石支所の山本経済課主任は「連携するだけでなく、情報交換や視察を行って、互いの良いところを取り入れている。このことが市場関係者から評価され、指名されることもある」という。
 西原部会長は、「まずはユリアの生産量を増やしたい。主産地視察や情報交換も大切だし、ポスターを作ったので販売店などにもアピールしたい」と意欲的だ。

(山中)




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