本文へスキップ

農業共済団体が発行している機関誌のご案内です。

2014年 2月


2月4週号
【香美市】シカ肉、イノシシ肉で地域に元気を/楮佐古街子さん

 「過疎化と高齢化が急速に進む香美市物部町を元気にしたい」と自分たちにできることを考えた楮佐古街子さん(38)。有害鳥獣対策で狩猟されたシカ肉やイノシシ肉に目をつけ、地元の食材を使った料理で住民と一緒に町を盛り上げようと様々な取り組みをしている。


地元食材を使った料理を手がける貴代さん(左)と街子さん
 「有害鳥獣駆除で捕獲されるシカ肉は猟師が一部を食用にするだけで、ほとんどは廃棄されています。それを何とか生かしたいと以前から思っていました」と話す楮佐古さん。
 狩猟肉を販売するには専用の加工施設での加工が必要となるが、県下でも解体・加工施設の数は少ない。そこで、「シカやイノシシのおいしさを伝えたい。少しでも安く、たくさんの方に食べてもらいたい」と、昨年4月に保健所の許可を得て、家族で解体・加工できる施設『来間座(くるまざ)』を建設した。
 地元猟師が捕獲したシカをさばいて加工した肉と地元で採れる野菜などを使用したシカ丼を商品化し、販売も開始。昨年12月中旬には、高知県主催の「第1回シカ肉料理コンテスト」への出品用に考案したのり巻き『奥物部鹿子』が特別審査員賞を受賞した。

審査員特別賞を受賞したのり巻き「奥物部鹿子」
 シカ丼と奥物部シカ子を取り扱っている同市香北町の地場産品直販店「韮生の里」店長の小原喜代子さんは、「始めは男性が興味を示していましたが、次第に女性ものり巻きなどを買っていくようになりました。シカ肉は硬いとか臭いイメージもありますが、こちらの商品はそれがないのでとても食べやすいです」と話している。
 楮佐古さんは他にも義母の貴代さん(65)が作るこんにゃくや干しシイタケを用いたり、地元住民が畑や家庭菜園で収穫した野菜、ユズ酢を購入して作る田舎寿司を地元のスーパーなどで販売している。

シカ丼などを販売している「韮生の里」
 今後は、さらに地元の食材にこだわりながら、今年も開催される「シカ肉料理コンテスト」へ出品するための商品開発に加えて、イノシシ肉についても積極的に商品化を検討していきたいと考えている。小原さんも楮佐古さんに対し、「街子さんのように、若くて前向きに進んでくれる方に期待しています」とエールを送る。
 楮佐古さんは「シカ肉も含めて地元物部の食材をこれからも使用し、物部町のみんなが元気になるよう微力ながらも貢献していきたいです」と意気込んでいる。

(加藤理恵)


■戻る