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農業共済団体が発行している機関誌のご案内です。

2014年 5月


 

5月2週号
【高知市】飽きがこない手作り豆腐を追及
              祖父の味残したい/豊永浩平さん

 高知市鏡草峰で約60年続いた豆腐店が、4年前に店主の引退で惜しまれながら閉店した。しかし、孫の豊永浩平さん(25)が大学卒業を機に、祖父の味を復活させようと昨年11月に新店舗「草峰庵」をオープン。地元の人に喜ばれ、評判となっている。
大学時代の恩師に書いてもらったという看板を前に浩平さん奄ニ由紀さん

 「祖父の豆腐が一番。この田舎豆腐をなくしてはいけない」という熱い思いから、母の由紀さんと叔父の大崎靖夫さんの三人で草峰庵をオープンさせた。浩平さんは祖父の大崎雄全さん(83)の豆腐作りが好きで、中学生から大学生まで休日には手伝いをしていたが、機械類は全く触らせてもらえず豆乳の型入れと洗い物だけだった。
  大学卒業後は祖父から機械の操作など本格的な指導を受けながら2年間の修行を行った。孫の仕事ぶりに雄全さんは「孫が豆腐作りを継いでくれて嬉しい。ようやく一人前に近づいてきた」と目を細める。
  浩平さんは「にがりの量で豆腐の硬さが決まり、少ないと柔らかく膨らみ、多いと硬い豆腐が出来るため、少しずつ入れながら調整するのが難しい。始めた頃は豆腐が固まらなかった」と豆腐作りの難しさを話す。
  現在、販売しているのは一丁180円の「きまぐれ豆腐」のみ。「きまぐれ豆腐」という商品名は、手作りのため日によって大きさや硬さが違うことから命名。1日に平均150丁作っており、よく売れる土日は180丁以上を作るという。
「きまぐれ豆腐」
「大豆本来の香りがすごい。とてもおいしい」と評判で、すぐに売り切れてしまうこともしばしば。地元の直販所「鏡村の店RIO店」と「鏡村の店万々店」に出荷しており、今後はスーパーの「サンシャイン太陽市」にも出荷していく予定だ。
 「おいしいと言われるとうれしい」と笑顔を見せる浩平さんは、「春夏○冬(秋ない=飽きない)豆腐作り」をモットーにしている。「祖父の世代には柔らかいと言われるが、同世代の若者には硬いと言われる。祖父の味を引き継ぎながら、若者をターゲットにすることが今後に繋がると思う」と経営者の顔ものぞかせる。
  鏡地区の自然のロケーションを生かした憩いの場を提供したいという夢を持つ浩平さん。「自分の特色を出して安心で安全な田舎豆腐を作っていきたい。今後は大豆も自分で作って地元産の田舎豆腐にしていきたい」と意欲を見せる。

《問い合わせ先》088(896)2877。月曜定休日

(大ア哲嗣)



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